反戦の声、生きる限り むのたけじさん100歳に - YouTube
  
 反骨のジャーナリストむのたけじ(本名・武野武治)さんが1月2日、100歳の誕生日を迎えた。「共同通信」の配給で、地方紙に載った。

 視力や足腰は衰えたが、大きく張りのある声を響かせ元気いっぱい。「人類が本気で愛し合えば戦争は起こらない。命ある限り声を上げ、平和を築くために最後の日まで懸命に生き続けたい」と力強く語った。

 「こんなに長生きするとは思わなかった」

 4年前から、さいたま市中央区で次男大策さん(61)と暮らすむのさん。1世紀を生きた記念日の朝、亡き妻美江さんの写真を飾り日本酒で乾杯。おせち料理を食べた後にテレビ局などの取材に応じ、夜は近所のすし屋でささやかな祝宴を開いた。

 中学時代、片道8キロの道を毎日歩いた。「それが体を丈夫にした」。青年、壮年期も病気をしなかったという。

 ところが80代半ばに病魔が襲う。眼底出血に加え、胃がんと肺がん、心臓には水がたまった。胃は5分の4を摘出。肺は3割しか残っていない。だがそれも乗り越えた。

 「がん細胞も自分の体の一部だと思ったら気が楽になった。がんに『火葬場に行きたくなかったら暴れるな』と言い聞かせた。命の責任者は俺自身。今はノミに食われる痛みも感じない」とユーモアたっぷり。

 むのさんは1915年生まれ。不況に苦しんだ秋田の小作農の出身。貧農と金持ちがいる矛盾を感じ、「社会の不平等をなくす役に立ちたい」とジャーナリストを志した。

 新聞記者になったのが二・二六事件の起きた36年の4月。従軍記者として中国やジャワ島などの戦地を取材した。

 「戦場は相手を殺さなければ自分が殺される場所。まともな人間でいられるのは3日まで。4日目から人間らしい感情が消える。国内も同じ。『命令に絶対服従』という軍の論理が全てを支配。その論理が社会にも家庭にも染み込む。親子、夫婦にもゆがみが生まれる。戦争は人類の大犯罪だ」

 79年間のジャーナリストの経験から「戦争はハッと気が付いた時には手遅れ。私も戦争の事実を書けなかった。だから戦争を絶対に始めさせてはならない」と力を込める。

 戦争はなくならないという人もいるが、むのさんは人類史をひもときながら反論する。

 「人類が地球に登場したのは700万年前。農業が始まったのが約1万年前。それまでは互いに助け合い、生きてきたに違いない。もし人間同士が殺し合ったら、ほかの動物に襲われ絶滅していた。戦争が始まったのは富が権力を生んだ約5千年前。699万5千年間は戦争がなかった。5千年前に戻れないはずはない」

 何が戦争を防ぎ、人類を救うのか。その問いにむのさんは「男女の愛だ」と答える。

 「男女が愛し合い、子どもを産む。本気で愛すれば戦争に行かず、行かせまいとするはず。その愛を貫けば戦争はなくなる。私も命が終わる最後の日まで、『戦争を殺す』ために全力を尽くす。最後は笑顔で死にたい」